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特集「LGBTという生き方」 カップルにインタビュー②

ファーさん&ファーさんカップルにインタビュー

左:ファーさん(22歳/グラフィックデザイナー) 右:ファーさん(22歳/コンセプトアーティスト)


Q: 自己紹介をお願いします。

ファー(左): ファー、22歳です。今はフリーランスでグラフィックデザインの仕事をしています。デジタルアーティストとしても活動していて、これからlgloo Studioに入る予定です。

ファー(右): ファー、22歳です。lgloo Studioでコンセプトアーティストとして働いています。



Q: ファーさんと付き合う前に恋人はいましたか?

ファー(右): いません。



Q: もう一方のファーさんは、どんな性別の人と付き合ったことがありますか?

ファー(左): 小1の頃に男の子と付き合ったことがありますが、しっくりこなくて、それ以降は、ずっと女性と付き合っています。大きくなるにつれ、自分が他の女子とは違うな、男子よりも男っぽいな、と意識するようになり、トムになりました。中学生になって女の子と付き合いました。当時は、自分が男を演じているのだから、相手にごちそうしたり、映画に連れて行ったりするのが男(トム)としての役割だと思っていました。けれど、その後に、自分が一方的に尽くす必要はなかったんじゃないかと思い、今度は自分が尽くされる立場になってみるためにディーになりました。女の立場を演じて、トムと付き合ったのです。でも、やっぱりそれも本物の愛ではないなと感じました。今はトムはやめて、たぶん普通の女性です。ファーと出会ってやっと、愛というのはどちらかが一方的に与えるものではなく、お互いが与えるものなのだと気づきました。様々な役割を演じてみて分かったのです。



Q: どちらから好きになったのですか?

ファー(右): どっちかな。私の方かも。でも彼女も私を口説いてきたかな。お互い様だから答えるのが難しいですね(笑)。



Q: どんなところが印象的で、友達以上の関係になったと思いますか?

ファー(右): 最初はSNSで会話していたので、歳がわからず、彼女の方が年上だと思っていました。後で同い年だと分かったのですが、彼女の大人っぽいところが印象的でした。



Q: 恋人の好きなところは?

ファー(左): 彼女が彼女であることが好きです。明るくて、ポジティブ。自分はどちらかというとネガティブなので、自分にないところを満たしてくれます。



Q: 最初のデートを覚えていますか?

ファー(右): 最初に会ったのはシーナカリンウィロート大学の試験で、彼女はチョコレートを一つくれました。その包み紙は今もとっておいてあります。

ファー(左): デートっていう感じだと、たぶんプラネタリウムです。私はデパートなど人が多いところが好きではないのですが、初めて同じ意見だったのが彼女でした。だからプラネタリウムに行きました。



Q: 女性と付き合っていると家族や親しい人が知った時、反対する人はいましたか?

ファー(左): 何人もいましたよ。まず自分の家族、両親です。女の子なのにどうして女の子と付き合うの?どうして男の子と付き合わないの?って。でもあまり干渉してこなかったのが幸いです。男性と付き合いなさいと強制はしませんでした。でも古い人だから女性と付き合うことがおかしいことではないという理解はしていないと思います。

ファー(右): 家族には話していません。母には女性が好きだと言ったことはあります。私が電話でファーと話しているのが父にも聞こえていると思いますが、父は何も言いません。もしかしたらLGBTの伯父がいるからかもしれませんね。私の家族はこういうことに関して、どちらかというとオープンです。



Q: 家では伯父さんを毛嫌いするということはないのですね?

ファー(右): ありません。



Q: タイではLGBTをどのくらい受け入れていますか?

ファー(右): 職場にもカトゥーイやゲイがいますし、それ以外にゲイの友人もいます。ストレートの人も受け入れていると思います。私自身がそっちの社会にいるので、よりLGBTの友人が多いのかもしれませんが…。



Q: 現在タイは同性婚を認めていませんが、女性と結婚したいですか?

ファー(左): 結婚は縛りのようなものだと思っています。私は恋人と一緒にいるだけで幸せです。結婚や結納、華やかな結婚式という形をとる必要はないですね。

ファー(右): 私も結婚にはあまり関心がありません。そんなに必要だとも思いません。



Q: 同性婚の法律ができるとしたらどう思いますか?

ファー(右): いいことだと思います。法的に認められた結婚をすれば、例えば、事故にあって承諾書にサインをしなければいけない場合にも対応できるようになりますね。それはいいと思います。



Q: LGBTについてタイは世界でどのような位置にいると思いますか?

ファー(左): タイでは、自分がLGBTであると言うことができるので、そこそこだと思います。フレンドリーではあるけれど、社会はまだLGBTを芸能界やメディアに出てくるような面白い人たちだというふうに見ています。それは、タイ人がLGBTをまだ少し馬鹿にしているとも言えます。でもタイはお互いの権利を踏みにじらないので、肩身の狭い思いをすることなく生活できるところがいいと思います。そこは中東の国とは違いますね。

ファー(右): タイは外国の文化を受け入れやすい国です。でも同時に、受け入れたことすべてを行動に移すほど、開かれているわけでもありません。LGBTについて、タイは許容してはいますが、同性婚の法律はありませんね。一方で、アメリカなど同性婚が法的に認められている国でも、LGBTパレードを通して他の権利を訴えるなど、また違う問題も起きています。LGBTが社会的に認められたり、法律が整備されたりしてきていますが、まだどの国も「これがベストだ」という状態にはたどり着いていません。なので、タイが世界でどの位置にいるとか、どの国より良いとか言うのは難しいですね。



Q: 今後、LGBTがどのような権利を得られるといいと思いますか?

ファー(左): 今は法的には何の権利もありません。例えば、ゲイのカップルは養子の両親になる権利がないなど、ストレートであれば普通に受けられる社会の様々な権利を奪われています。LGBTは子どもを育てる責任感がないとか、そんなことは全くありません。そこに何の関係もないということをきちんと見てほしいです。

ファー(右): 就職についてもです。以前、履歴は素晴らしいのにトランスジェンダーというだけで雇ってもらえなかったというニュースを見ました。こういうことは起きるべきではないと思いますし、きちんとその人の成果を見るべきです。タイがLGBTをもっと認めて理解したら、こういう状態も改善されるのではないかと思います。



Q: LGBTが就きにくい職種とは?

ファー(右): 信用に関わる仕事でしょうか。政治の世界や裁判所など、そういうところでは第3の性の人は敬遠されるかもしれません。



Q: LGBTをどのくらい認めてほしいと思いますか?

ファー(右): 今はそれなりにOKだと感じています。自分自身に嫌なことがあまり起こっていないからかもしれません。でも一般社会では、タイ人がもっとLGBTの人を認めて理解してくれるといいなと思います。第3の性の子どもが学校でいじめられているというニュースを見ると、とても嫌な気持ちになります。第3の性であることは間違っていることではないと思います。

ファー(左): タイのカトゥーイは世界も認めています。ですが、カトゥーイ以外のトランスジェンダーの人はあまり見かけません。女性から男性になったトランスジェンダーの人はあまりメディアにも出ません。もっとカミングアウトする人が増えてほしいですね。



Q: タイがLGBTを完全に認めるのに、どのくらいの時間が必要だと思いますか?

ファー(左): 何とも言えませんね。現在では、タイ人もLGBTを理解するようになってきているし、プライドパレードもタイで行われるようになりました。昔と比べるとかなり進歩してきていると思います。

ファー(右): 認めることにそんなに時間はかからないと思います。でもLGBTの権利を認める法律をつくるのは難しいと思います。タイはLGBTに関して完全に認めているわけではないので。さっきも言ったように、受け入れることはできるけど、何かを変えることは難しい。きっと時間がかかると思います。



Q: LGBTについて理解していない人に伝えたいことは?

ファー(左): 私たちの周りの10人に1人、5人に1人はLGBTだと思います。彼らと共生するには、その人自身とその人が選んだことを認めること、それだけ。情報を探したり、学んだりする必要がある話ではないと思います。

ファー(右): LGBTは自らそれを選んでLGBTになったわけではありません。他の人と多少違っているかもしれませんが、LGBTである自分のことを認めてほしいと思っています。LGBTについて理解していない人には、この部分を認めて分かってほしい。また同様に、LGBTの人には、自分に自信を持ってほしいです。自分を信じることで、自分の立場が強くなり、他人からのネガティブな感情に影響を受けることもなくなります。



以上、ファーさん&ファーさんカップルのインタビューでした!
次回もインタビューをお届けします。お楽しみに☆


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